2013年 08月 13日
E LA NAVE VA |
HPGAZZETTA TENCOのHPアーカイブから。
E LA NAVE VA(2011年5月)
今年はずいぶん早い梅雨入り。寒い寒い春先にはずっと足踏みしていたような季節でしたが、5月に入ってからは、急に早送りになったみたいに過ぎていきます。毎年気象庁からあらためて梅雨入りや梅雨明けといわれても、実際にはぴんと来ないものですが、今年は少し違います。実際の雨量に加えて、雨で運ばれて来る放射性物質についても気にしなければならないからです。ただでさえ、気持ちが滅入る時期になんとも憂鬱なことですが。あれから2ヶ月半が経ちました。東京の町は一見何も変わりがないように思えるけれど、気がつけば何かが今も失われたまま。日々お天気予報と同時に、風向きや各地の放射線量、ドイツ気象庁のSPEEDIの画像をチェックするのもすっかり日常になってしまいました。誰かと顔を合わせば、挨拶代わりに災害支援や原発関連の情報交換するのにも慣れました。あまり神経質を尖らせるのは、そのこと自体かえって心や体に悪いと思うので、過剰に反応するつもりはないのだけれど、やはり自分の身は自分で守らなければなりません。被災地への支援も、ネット上で有用な情報を自分なりに選択しては、少しずつ分散しながら続けています。これもまたあらたな日常になりました。支援活動はまだまだ始まったばかりですし、必要とされる内容も状況に応じて刻々と変化しています。震災直後はまずは炊き出しボランティアへの支援、まだ過酷に寒かった頃は避難所へ直接あたたかい衣類やホカロンなどの支援物資、原発からの退避地区への支援金も送りました。赤十字の義援金配布がさらに遅れると分かった時は、再度NPO支援基金への送金にし、その次は地場の林業と木材を利用した木造仮設住宅プロジェクトのサポート。被災地への太陽光による電気供給や温水パネル、バイオマス燃料の巡回お風呂サービスなどのプロジェクトへのサポート。支援の段階から地元産業の復興を支えたり、自然エネルギーにシフトしていくという試みが未来へつながりそうだと判断して。一番最近は、被災地に置き去りにされたペットたちの救護活動をしている団体への支援にしました。実は今まで被災地のペットの事はずっと気になりつつも、考えないようにしていました。あまりに辛くてフタをしていたというべきかもしれません。先日NHKの「ネットワークで作る放射線汚染地図」の番組ラストで飼い主の車を走って追って来る犬を見た時も、正直「ああ、まずいものを見てしまった」と、しばらくその映像が心に焼きつき、心がぐらぐら不安定になりそうでした。幸いその犬(パンダちゃん)は、動物愛護グループに保護された事がネット上で判明し、とりあえずはほっとしたものです。ただ、救出された動物たちは幸運な少数派にすぎません。被災地もいまだ手つかずの地域も多く、原発事故も収束どころか次々と深刻な難局に見舞われています。これからまだまだ続く膨大な復興作業、再生への遠い道のりを思うと、しばし果てしなく茫然とした気持ちになってしまいます。人も動物も花も木も、そして地震や津波も自然の一部です。私たちは多くの命とともに、同じ船に乗り合わせた運命共同体です。これから私たちの船はどこへ向かっていくのでしょうか。
「E LA NAVE VA~そして船はゆく」は1983年のフェデリコ・フェリーニの映画。第一次大戦前夜の豪華客船を舞台に、そこに乗り合わせたあらゆる階級の人々によるエピソードがオペラのように(だまし絵のようなオールセットで)繰り広げられます。ピナ・バウシュ演ずる盲目の貴婦人をはじめ、魂がそのまま形になったような美しくも哀しい異形の人物が次々と描かれていきます。そして人間だけでなく、傷ついたサイなど動物も登場する。そう、客船は人も動物も載せた方舟として描かれているのです。それぞれの運命をのせ、荘厳な雰囲気を漂わせながら新天地はたまた終末へと向かってすすんでくラストで終わっています。
E LA NAVE VA(2011年5月)
今年はずいぶん早い梅雨入り。寒い寒い春先にはずっと足踏みしていたような季節でしたが、5月に入ってからは、急に早送りになったみたいに過ぎていきます。毎年気象庁からあらためて梅雨入りや梅雨明けといわれても、実際にはぴんと来ないものですが、今年は少し違います。実際の雨量に加えて、雨で運ばれて来る放射性物質についても気にしなければならないからです。ただでさえ、気持ちが滅入る時期になんとも憂鬱なことですが。あれから2ヶ月半が経ちました。東京の町は一見何も変わりがないように思えるけれど、気がつけば何かが今も失われたまま。日々お天気予報と同時に、風向きや各地の放射線量、ドイツ気象庁のSPEEDIの画像をチェックするのもすっかり日常になってしまいました。誰かと顔を合わせば、挨拶代わりに災害支援や原発関連の情報交換するのにも慣れました。あまり神経質を尖らせるのは、そのこと自体かえって心や体に悪いと思うので、過剰に反応するつもりはないのだけれど、やはり自分の身は自分で守らなければなりません。被災地への支援も、ネット上で有用な情報を自分なりに選択しては、少しずつ分散しながら続けています。これもまたあらたな日常になりました。支援活動はまだまだ始まったばかりですし、必要とされる内容も状況に応じて刻々と変化しています。震災直後はまずは炊き出しボランティアへの支援、まだ過酷に寒かった頃は避難所へ直接あたたかい衣類やホカロンなどの支援物資、原発からの退避地区への支援金も送りました。赤十字の義援金配布がさらに遅れると分かった時は、再度NPO支援基金への送金にし、その次は地場の林業と木材を利用した木造仮設住宅プロジェクトのサポート。被災地への太陽光による電気供給や温水パネル、バイオマス燃料の巡回お風呂サービスなどのプロジェクトへのサポート。支援の段階から地元産業の復興を支えたり、自然エネルギーにシフトしていくという試みが未来へつながりそうだと判断して。一番最近は、被災地に置き去りにされたペットたちの救護活動をしている団体への支援にしました。実は今まで被災地のペットの事はずっと気になりつつも、考えないようにしていました。あまりに辛くてフタをしていたというべきかもしれません。先日NHKの「ネットワークで作る放射線汚染地図」の番組ラストで飼い主の車を走って追って来る犬を見た時も、正直「ああ、まずいものを見てしまった」と、しばらくその映像が心に焼きつき、心がぐらぐら不安定になりそうでした。幸いその犬(パンダちゃん)は、動物愛護グループに保護された事がネット上で判明し、とりあえずはほっとしたものです。ただ、救出された動物たちは幸運な少数派にすぎません。被災地もいまだ手つかずの地域も多く、原発事故も収束どころか次々と深刻な難局に見舞われています。これからまだまだ続く膨大な復興作業、再生への遠い道のりを思うと、しばし果てしなく茫然とした気持ちになってしまいます。人も動物も花も木も、そして地震や津波も自然の一部です。私たちは多くの命とともに、同じ船に乗り合わせた運命共同体です。これから私たちの船はどこへ向かっていくのでしょうか。
「E LA NAVE VA~そして船はゆく」は1983年のフェデリコ・フェリーニの映画。第一次大戦前夜の豪華客船を舞台に、そこに乗り合わせたあらゆる階級の人々によるエピソードがオペラのように(だまし絵のようなオールセットで)繰り広げられます。ピナ・バウシュ演ずる盲目の貴婦人をはじめ、魂がそのまま形になったような美しくも哀しい異形の人物が次々と描かれていきます。そして人間だけでなく、傷ついたサイなど動物も登場する。そう、客船は人も動物も載せた方舟として描かれているのです。それぞれの運命をのせ、荘厳な雰囲気を漂わせながら新天地はたまた終末へと向かってすすんでくラストで終わっています。
by tencovenexiana
| 2013-08-13 17:33
| vita giornale