2011年 11月 22日
POLENTAの日 |
今日はパスタでもない、リゾットでもないという気分、時々やってくるポレンタの日。ポレンタとはトウモロコシの粉を煮たお粥のようなそばがきのような不思議な食べ物。北イタリア人がこよなく愛する伝統的な郷土料理です。はっきり言って私もこの「ポレンタ喰い」ポレントーネのひとり。このブログを始めた時、最初にとりあげた食物の話題がこのポレンタだったということからみても、その思い入れが知れようというもの。
イタリア料理と日本料理を比較して「イタリア料理の主食ってパスタなの?それともパン?」と訊かれることがありますが、そもそも日本人のように主食と副食という関係、つまり「ごはんとおかず」という関係が明確でないのがイタリア料理です。日本人が何の味つけもしていない白飯を食べるのが不思議に思えるようです。パンも主食というより、料理を乗せる「台」の役目を果たしていて、これもまた微妙にスタンスが違います。そんななか、このポレンタこそ最も「ごはんとおかず」に近い食べ方をする食べ物です。すなわち、それ自体はあまり積極的な味つけをせずに、あらゆる料理と取り合わせて食べることができるものなのです。煮込み料理はもちろん、イカスミ煮、キノコの煮物、トリッパ、海老の蒸し煮、フリットにサルシッチャ、フォルマッジオにもポレンタです。
*やや柔らかめのポレンタはまんまるのお月さまのような仕上がり。
豚スペアリブで煮込みを作り、最初はプリモになにかパスタでも食べようと思っていたのですが、イサオ君が台所にやって来て鍋の中を覗くなり「ポレンタにしない?」と提案。おお、その手があったかと一も二もなく賛成したのでした。ようするに我が家はふたりともポレントーネなんですね。もちろんポレンタの粉は常備品、さっそくポレンタ用の鍋を取り出します。
ポレンタはその固さ加減によって、お粥状から葛餅くらいの状態まで様々に作ります。作り立てが美味なのはもちろんですが、余ったポレンタを翌日お餅のように焼いて食べるのもまた香ばしくておいしい。今日はいつもよりやや柔らかめに作りました。専用の板にあけて出来上がり。伝統的にはこれを糸で切る方法もありますが、ふつうはケーキのようにナイフかサーバーで切り分けます。この日は、豚スペアリブの煮込みにつけあわせ(コントルニ)としてゆき菜のサルターテ、サラダは5種類の野菜を盛り合わせました(こういう風に盛りつけるとちょっとご馳走風にみえます)
果たして、できたてのポレンタはおいしくてどんどん食べてしまいました。まずは煮込みと一緒に、それからゴルゴンゾーラと。まさに「ごはんに漬け物」の感覚でしょうか。
ヴィーノはCORVOのロッソで。久しぶりのポレンタに満足しきりのポレントーネたちでした。
証拠写真というか、本家イタリアでの正式なるポレンタの一場面。数年前のクリスマスイブを、フリウリの山奥にある友人アントネッラの実家で過ごした際のことです。
ポレンタはマンマ・アンナの手によって正しく糸で切り分けられました。イブの夜は肉は食べない習慣にて、これまた正しく干し鱈バカラを食しました。
by tencovenexiana
| 2011-11-22 00:11
| 料理/cucina