2012年 02月 24日
ヴェネツィア的料理教室 EL SAOR |
*ヴェネツィア風チケッティ。手前から牛すじといんげん豆のマリネ、小海老のニンニク風味、小蛸のサラダ。
*手前から、焼き野菜、鰯のサオール。
2003年から数年間、不定期に自宅でヴェネツィア料理の料理教室をしていました。料理教室といっても、当時から小さなエネルギーで暮らす「ヴェネツィア的生活」を標榜していたので、その実践編としてのレシピつきの食事会というものでした。その後、オペラの制作などという道楽にはまったおかげで、しばし休止。実はこのブログを始めたのも、その代わりに発信というつもりもありました。昨年ボランティアや被災地支援活動を通じて知り合った皆さんからの要望に後押していただき、EL SAORを再開することにしました。昨年末、プレオープンのような形で食事会を開き、今回が再開第1回目ということになります。
*前菜は食べる時に自分の皿に盛り合わせてアンティパスト・ミストにします。
久しぶりの再開ということもあって、メニューを何にしようかあれこれ悩みましたが、やはりヴェネツィア生活の最大の楽しみであるCichettiチケッティつまりヴェネツィア版居酒屋Bacaroのヴィーノと酒肴のスタイルにしました。前菜風の料理をいろいろと食べ、ヴィーノを飲み、楽しくお喋りをするのが、なんといってもヴェネツィア的。もちろん、会の名前にもなっている名物料理のサオールは欠かせません。前日に築地に買い出しに行き、魚介を中心に仕入れました。
昼下がりにまずはアペリティーヴォで乾杯し、プロシュットやオリーブをつまみながら、メニューと段取りを説明。料理はほぼ作っておきましたが、ブザラ風のパスタソースと、ムール貝を実習することにしました。その間約1時間。そしてまだうす明るい夕刻に食事をスタートです。記念すべき、再開初回のメニューは以下の通り。
◆Aperitivo/プロシュットのクロスティーニ Crostini di prosciutto
◆小海老のニンニク風味 Gamberetti con aglio e olio
◆鰯のサオール Sarde in saor
◆牛スジといんげん豆のマリネ Nervetti e fagioli conditi
◆小蛸のサラダ Insalata di moscardino
◆焼き野菜 Verdure griglie
◆ムール貝のヴェネツィア風 Cozze alla venexiana
◆ブザラ風リングイネ Linguine alla Busara
◆青菜のサルターテ Bietra saltato
◆パンナコッタ Panna cotta
◆苺のヴェネツィア風 Fragole alla venexiana
*ムール貝は殻をきれいに掃除するのが大事です。かなりの労力を要しますが、そうしないと、味が濁ってしまっておいしくありません。
このEL SAORをするにあたり、決めていることがあります。それは、リチェッタはもちろん、私がヴェネツィアのマンマから学んだ通りのやり方を可能な限り忠実に守ることです。ここでは、ヴェネツィアの食生活を体験、共有したいと思っています。
マンマの料理はたいへんシンプルなのですが、そのかわり手抜きは一切ありません。口癖は「Pazienza!忍耐」です。材料を吟味し、丁寧に下ごしらえし、きちっと手順をふんでいきます。仕上がりは限りなくやさしく、繊細な味です。家庭料理なのですから、当然毎日食べ続けられる味でなくてはなりません。
目的の食材が手に入らなければその料理を諦めます。魚や野菜の種類がヴェネツィアとは異なるのは仕方ないので、できるだけ近い味に再現できるものを探します。例えば、ブザラ風ソースで使う海老は生の状態で赤い、甘みの強い水分の多いものが適しているので、解凍もののアルゼンチン産赤海老を使います。(あるいはボタン海老や甘海老でも)
食べ方もヴェネツィア流です。例えば、小海老の殻や足など日本人的には丸ごと食べてしまいたいものですが、ヴェネツィアでは決して食べません。ひしこ鰯の小骨などもしかり。
「どうして?丸ごと食べたほうが美味しいのに」と、日本人たちは皆口を揃え、そして丸ごと食べてしまいます。実は私自身はじめはそう思いました。でも、今はきちっと外して食べています。何故か?そうしないとこの料理の本当の味ではないと思うからです。そして、伝統的な料理のリチェッタや成り立ちには、正当な意味があり、それを知ることが大事だからです。マンマの料理を自己流にアレンジせずに伝えること、それが私の使命であり、相手とその文化に対する敬意と思っています。
*パンナコッタにはラム酒入りのザバイオーネソースをかけて。
*手前から、焼き野菜、鰯のサオール。
2003年から数年間、不定期に自宅でヴェネツィア料理の料理教室をしていました。料理教室といっても、当時から小さなエネルギーで暮らす「ヴェネツィア的生活」を標榜していたので、その実践編としてのレシピつきの食事会というものでした。その後、オペラの制作などという道楽にはまったおかげで、しばし休止。実はこのブログを始めたのも、その代わりに発信というつもりもありました。昨年ボランティアや被災地支援活動を通じて知り合った皆さんからの要望に後押していただき、EL SAORを再開することにしました。昨年末、プレオープンのような形で食事会を開き、今回が再開第1回目ということになります。
*前菜は食べる時に自分の皿に盛り合わせてアンティパスト・ミストにします。
久しぶりの再開ということもあって、メニューを何にしようかあれこれ悩みましたが、やはりヴェネツィア生活の最大の楽しみであるCichettiチケッティつまりヴェネツィア版居酒屋Bacaroのヴィーノと酒肴のスタイルにしました。前菜風の料理をいろいろと食べ、ヴィーノを飲み、楽しくお喋りをするのが、なんといってもヴェネツィア的。もちろん、会の名前にもなっている名物料理のサオールは欠かせません。前日に築地に買い出しに行き、魚介を中心に仕入れました。
昼下がりにまずはアペリティーヴォで乾杯し、プロシュットやオリーブをつまみながら、メニューと段取りを説明。料理はほぼ作っておきましたが、ブザラ風のパスタソースと、ムール貝を実習することにしました。その間約1時間。そしてまだうす明るい夕刻に食事をスタートです。記念すべき、再開初回のメニューは以下の通り。
◆Aperitivo/プロシュットのクロスティーニ Crostini di prosciutto
◆小海老のニンニク風味 Gamberetti con aglio e olio
◆鰯のサオール Sarde in saor
◆牛スジといんげん豆のマリネ Nervetti e fagioli conditi
◆小蛸のサラダ Insalata di moscardino
◆焼き野菜 Verdure griglie
◆ムール貝のヴェネツィア風 Cozze alla venexiana
◆ブザラ風リングイネ Linguine alla Busara
◆青菜のサルターテ Bietra saltato
◆パンナコッタ Panna cotta
◆苺のヴェネツィア風 Fragole alla venexiana
*ムール貝は殻をきれいに掃除するのが大事です。かなりの労力を要しますが、そうしないと、味が濁ってしまっておいしくありません。
このEL SAORをするにあたり、決めていることがあります。それは、リチェッタはもちろん、私がヴェネツィアのマンマから学んだ通りのやり方を可能な限り忠実に守ることです。ここでは、ヴェネツィアの食生活を体験、共有したいと思っています。
マンマの料理はたいへんシンプルなのですが、そのかわり手抜きは一切ありません。口癖は「Pazienza!忍耐」です。材料を吟味し、丁寧に下ごしらえし、きちっと手順をふんでいきます。仕上がりは限りなくやさしく、繊細な味です。家庭料理なのですから、当然毎日食べ続けられる味でなくてはなりません。
目的の食材が手に入らなければその料理を諦めます。魚や野菜の種類がヴェネツィアとは異なるのは仕方ないので、できるだけ近い味に再現できるものを探します。例えば、ブザラ風ソースで使う海老は生の状態で赤い、甘みの強い水分の多いものが適しているので、解凍もののアルゼンチン産赤海老を使います。(あるいはボタン海老や甘海老でも)
食べ方もヴェネツィア流です。例えば、小海老の殻や足など日本人的には丸ごと食べてしまいたいものですが、ヴェネツィアでは決して食べません。ひしこ鰯の小骨などもしかり。
「どうして?丸ごと食べたほうが美味しいのに」と、日本人たちは皆口を揃え、そして丸ごと食べてしまいます。実は私自身はじめはそう思いました。でも、今はきちっと外して食べています。何故か?そうしないとこの料理の本当の味ではないと思うからです。そして、伝統的な料理のリチェッタや成り立ちには、正当な意味があり、それを知ることが大事だからです。マンマの料理を自己流にアレンジせずに伝えること、それが私の使命であり、相手とその文化に対する敬意と思っています。
*パンナコッタにはラム酒入りのザバイオーネソースをかけて。
*食後のディジェスティーヴォは手作りのリモンチェッロで。
by tencovenexiana
| 2012-02-24 23:02
| おいしいごはん/mangiarebene