2017年 01月 10日
2016年ヴェネツィア旅日記(3週目) |

[12/3土曜日]
午前中にヴェネツィアから電車で約1時間のバッサーノ・デル・グラッパへ。友人の写真家アレッサンドロとアルベルタに会いにきました。今までは日帰りで来ていたバッサーノだけど、今回は月曜までの2泊の予定。日曜はヴィチェンツァの友人マルッツァの家へ行く予定。今晩はアレッサンドロがとっておいてくれたB&Bに泊まります。例によって、アレッサンドロ一家と一緒に料理をしておしゃべり、スタジオを訪ねたりバッサーノの町を歩いたり。
若いオーナーのB&Bは三ヶ月前にオープンしたばかり。古い水車小屋を改築したというシンプルでかわいい建物です。



【12/4日曜日】
山間の宿で目覚める。川の流れの音がし、ひんやりとした空気が気持ちいい。朝8時に予約した朝食があまりにおいしくて食べ過ぎてしまう。オーナーのリカルドと仲良くなって、次に来る時の部屋はこちらと別の部屋も見せてもらう。
泊まったB&B Mulino di Campeseはここ。記念すべき初めての日本人客となったらしい。

迎えにきたアレッサンドロたちと一緒に昼食の約束をしているヴィチェンツァのマルッツァの家へ向かう。今日はウーディネからダニエレもやって来る予定。私たちは20年来の友人なのだが、実は近くに住んでいる彼ら同士が会うのはかなり久しぶりであり、全員が揃うのはなんと十数年ぶり。
マルッツァが招待してくれた昼食は近所に住む友人のフランコが腕を振るう。サラミとポレンタ、グアンチャーレ(牛の頰肉)の煮込みとじゃがいものピュレ、キャベツの煮込みのつけあわせという典型的なヴェネトの料理。デザートはマルサラ酒のザバイオーネとリンゴのパイ。ワインはもちろんマルッツァの実家C'a Bianchi Michieleのワイン。

2時間あまりの盛大な食事の後はひとしきりサロンでまたおしゃべりや子供たちとゲームしたり。6年ぶりに会うマルッツァの娘、エレオノーラがすっかり大きくなっていてびっくり。やんちゃぶりはそのままだけれど。みんなで「SHANGAI/上海」という中国の積み木崩しの串版のようなゲームに熱中する。

夕方は帰るアレッサンドロやダニエレたちを見送りがてら外に出て、ヴィチェンツァの町をパッセジャータ。途中、生誕500年記念のベリーニの絵がある教会を訪ねる。町はもうクリスマスの雰囲気だ。
帰りぎわに国民投票に行くマルッツァについて行く。やはり小学校に投票所が設けられている。(翌日情報:憲法改正は否決され、左派のチンクエステレが優勢に。レンツィは退陣を余儀なくされるらしい)


夜はマルッツァとエレオノーラと私たちで過ごす。暖炉の前でごろごろし、残り物のスープで軽い夕食。イサオ君がマルッツァに十年ぶりくらいにマッサージ。Mani miracoliと絶賛される。
【12/5月曜日】
夕べはマルッツァの家に泊まる。今日はお昼にフランコの家で和食を食べることにしたので、午前中から準備、まず近所に野菜や鶏肉を買いに出る。例によってインゲンとチーマディラーパなどを買って戻り、急いでごはんを炊く。ケータリングしやすいちらし寿司、インゲンと鶏の胡麻マヨネーズ、海藻サラダ、菜の花に似た味のチーマディラーパで胡麻味噌和えを作る。

フランコの家はヴィチェンツァの高台にあり、町を一望する眺望と美術蒐集で埋めつくされた驚くべき館。
もちろん和食は大好評を博し、お土産で持っていった実山椒や新生姜のガリに心を奪われたようでした。ふだん好き嫌いの多いエレオノーラもどんどんお代わりをし、結局5人ですべて食べつくしました。次回は素晴らしい眺めのテラスで食事をしようと約束。
マルッツァは車で帰り、私たちはパッセジャータを楽しみながら戻る。ヴィチェンツァからヴェネツィアまでは急行だと45分。夕方の列車でヴェネツィアに帰り、駅の出店でピッツァとビールで夕食にする。明日はもう一度和食を作る予定です。


【12/6火曜日】
ヴェネツィア滞在も今日を入れてあと2日。いよいよ気ぜわしくなってくる。今夜は向かいに住むシーラ、以前シーラと同居していたドーラをよんで、和食の会をする約束をしている。いつも何かとマンマを助け、病院の付き添いもしてくれた家族同様のふたりだ。昔のままのマンマの家で、以前と同じように和食を作って過ごすのは、とても不思議な気持ち。そこにマンマの姿はないものの、常に傍にいてくれているような気がする。
朝からリアルト市場へ出かける。例によって75分ルールを遂行すべく、手早く買い物をすませていく。行きがけグーリエ橋のたもとの魚売り場で開きになったアングイラ、つまり鰻を見つけてしまったので、初めて鰻の蒲焼きに挑戦してみることに。リアルトでは鮪の切り身をみつくろい、鮪のタリアータ(表面を少し炙った刺身)、あとは定番のちらし寿司、茄子の田楽、鶏といんげんの胡麻マヨネーズあえ、海藻サラダというメニュ。
Casa del Parmigiano でお昼用にプロシュットとポルケッタ、カサテッラというフォルマッジョを買い、RIZZOでパンを買って帰る。プロシュットにラディッキョのサラダというBINTARS風の昼食。あたたかいものが食べたかったので、COOPで買ってきたインスタントのズッパを用意する。

午後はずっと和食の準備。使い慣れた台所なので、気楽にできる。このCUCINAで料理できるのも、これが最後かと思うとちょっと切ない。ヴェネツィアの鰻はこちらではふつう、グリルかトマト煮にして食べる。かなり脂がのっている肉厚の身なので、よく皮目を洗って鱧のように骨切りをし、まず蒸してから、実山椒を加えて照焼きにしてみた。ふっくらした仕上がりにはならなかったけれど、関西風の蒲焼きになり美味。

シーラもドーラも美味しいものに眼がない食いしん坊。イタリアでは「よいフォーク」という意味のBuona forchettaという。
ちょっと作りすぎたかなと思ったけれど、何回もお代わりをし、鰻や鮪はもちろんすべて食べ尽くしてしまった。
マンマとの思い出や政治や方言の話題で話は尽きず、夜遅くまで楽しい時間を過ごす。
忙しくて写真があまり撮れなかった。

【12/7水曜日】
ヴェネツィア最終日。朝から荷物作りに奮闘。いつもならマンマがつまらなそうに「あんたたち、一体何してるんだ?」と覗きにきていたのに。
朝早くから、マンマが冷凍庫に残していたファッジョーリ、いんげん豆を解凍して最も伝統的なヴェネトの家庭料理、Pasta e Fagioiを作る。ここにこうやっていられるのもすべてマンマとの出会いがあったおかげ。
マンマに教わった通り、使い込んだマンマの鍋や道具を使って。すべてのことに感謝しながら豆を煮る。豆をpassaverdureを使って漉していると、胸がつまって涙がとまらなくなってしまった。私なりのマンマとのお別れの儀式なのかもしれないと思う。マンマありがとう。これからもいつも私の心の中にいてください。

お昼はPasta e Fagioiにサルシッチャという、典型的なヴェネトの食事。最後の調理をしてから、ひとしきり台所を片づけ、掃除する。

午後は最終日のパッセジャータ、王道のサンマルコ広場に出かけることにする。ヴァポレットで向かう途中も絵はがきのような景色ばかりで、だんだんと写真を撮るのがバカらしくなってくる。しかし、ここサンマルコに来たからには、観光客魂を発揮してセルフタイマーによる自撮り写真に挑戦する。帰り道はぶらぶら歩いて戻り、途中サンドラとジーナに挨拶に行く。夕方からはまた荷造り。9時頃にやっと目処がつき、昨日シーラに教えてもらったバーカロに行ってみる。狭い路地裏にある典型的な居酒屋だが、トレンディな感じもある店は大盛況で混み合っていた。軽くプロセッコとチケッティをとり、帰りにゲットーのピッツェリアでテイクアウトして夕食。最後の夜はいつも忙しい。
明日の朝はフォスカリーナのところで朝食の約束。




by tencovenexiana
| 2017-01-10 15:23
| venezia2016